まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その3.FGの カッコ良さ

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◆出会い

露出を定点合わせするフルマニュアルのキャノンFTbの次に手にしたのが、絞り優先AE機EMを元にニコンが初のプログラムモードを搭載したFGです。1/1000までのシャッターダイヤルでマニュアル露出も可能なため、FTbから乗り換えてもダイヤルグリグリの操作感を引き続き楽しむことができました。

このカメラを購入したきっかけは、FTbとの比較でいえば軽量小型なため、マニュアル露出でシャッタ押すまで時間かけても左腕がプルプルしないだろうということもありますが、それならばミノルタのX-700やキャノンAE-1プラスプログラムの方が世の中では軽量小型実用機として売れていました。

◆いかしたカメラ

ではなぜ、FGか。それはカッコ良さにつきます。当時のニコンが他メーカと違っていた特徴に、レンズを挟んでボディの左側が右側に対し短い、という事がいえる。そのアンバランス感が、カメラとは左手でレンズを支え右手でアレコレ操作することを無言に強要し、左右の手でボディ両脇をつまむコンパクトカメラとの決別を訴えるのです。おまえが今手にしてるのは一眼レフだぞ、レンズを構えイザ旅に出でよ、と。

FGの場合は、それを小さなボディでダイヤル感モリモリに実現しておりニコンの中でもさらに凝縮感が高い。例えば、巻き上げレバーは2段折れになっていて左右幅狭い。ここまではギュギュギュとしていながら、その右側になると大陸棚のようなスペースが広がり、絞りこまれた右端に向かい緩やかにつながる。カッコ良い。

しかし、外見だけでなく使い勝手も良く練られています。

◆使ってみて

別パーツで付与されたグリップを右手で握ることにより、カメラを支える左腕の負担が軽減すると同時にシャッタへの意識が集中する。これを試しに外すと、左手にくる重さがグッと増しフレーミングも安定しません。

シャッタダイヤルの回転枠外側がボディからわずかに前側に突出しているので、カメラ持つ右手を持ち変えることなく操作ができる。

そして、巻き上げレバーの2段折れは、巻き上げ時に「レバーを引き出す」「レバーを回す」の2操作のため一見煩雑なように見えるが、左目が効き目である者にとっては撮影中にレバーが額に当たらないことの方が嬉しい。

機能面では、プログラム露出の手軽さを感じたことよりも、TTLストロボ露出の正確さへの安心感の方に恩恵を感じました。今のデジタル一眼レフでもストロボ制御が下手なものが結構あること思えば、ここはニコンの一つの伝統的優位といえます。

◆振動アリ。

このFGの弱点をあげるとすると、ミラーショックの抑え込み不足、シャッタ降りるまでのタイムラグによると思われるボディ振動。シャッタ速度が1/30~1/60くらいにバランスの悪さが出てきて、シャッタの後のショックが大きいだけでなくこの速度でも意外に手ブレします。この辺はのちに買ったコンタックスRXとは雲泥の差。

そのため、撮影のときには1/125以上を無意識に使うことが多く、最初に合わせたズームレンズ36~72ミリのF3.5では撮り切れないことがあり早々と50ミリf=1.4を買いそろえたりしました。それでも最後には、ズームの便利さには勝てず、35~105ズームを多用してましたが。(このレンズとFGの組み合わせは操作感の点では最良です。欲張らなければ見たものを写したい形に「手軽に」仕上げることができました)。

◆やはり見た目が一番

最後に、このカメラの最終的な絵につながる写真機としての能力に言及すると露出制御の正確さ。まだ、多分割測光でなく中央重点測光ですがポジフィルムでも大きく露出を外すことがない。その安心感と手に持つ操作感の良さ、そして使わなく眺めているだけでも引き込まれるカッコ良さは このカメラにしかない魅力として今でも記憶に残っています。

 ◇次回:ズームしない。だけど、時には広く、時には遠くを撮れるカメラです。