まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その10.エスピオミニ 視界良好

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◆出会い

EOSに28-105ズームをつければ撮りたいものが撮れる安心を得た余裕でしょうか、この頃はやたらとコンパクトカメラに興味がありました。手の中でコロコロいじって楽しむ小さな相棒、その中にペンタックスエスピオミニが加わります。

きっかけはクルマに乗ってて目に飛び込んだ街の看板。保護カバーを開いてシルバー色のボディからレンズを覗かせているその正面写真を見た瞬間、「カッコ良い!」→即カメラ店に直行しました。操作の感触、オリンパスXAとの対比でレンズバリアを開閉してみるとすごぶるスムーズ。が、何といってもレンズです。前から覗くと、写す景色の透明感を増幅するのではないか、と感じるほどにコーティングが虹色に輝き「このガラス玉は違う」ことが一目でわかりました。

◆バリヤ、開いて、見せる

オリンパスのXAとは逆に、このカメラでは右方向へバリヤが開きます。これは、なかなか理にかなってます。なぜなら、急ぐ時には左手を添えることなく写真が撮れます。右手で開けば電源が入り、バリヤのふくらみがしっかりしたグリップを保持、シャッタを人差し指で押せば良い。私は左目でファインダを覗く為どうしても左手でカメラを支えるクセがついてるのですが、それでも咄嗟のとき右手だけで済むのは便利でした。

それは別にバリヤ開かずとも、大抵のコンパクトカメラはそうだ、むしろバリヤ開くだけ手間、と言えそうですが全く逆です。別にある電源ボタンを押さなくて済むだけでなく、グリップのふくらみが絶妙であるため開くのもラク、開いたあとの保持もラク、そして重さが軽いのでそのままシャッタへと移行できるのです。

そして、開くとレンズだけでなくAF測距窓、ファインダ、自動露出窓など小さなガラス窓が丸いの四角いの全部7つがバーンと顔を出します。軍艦の砲列のようです。それが黒いプラスティックの中でなお一層締まった表情を醸し出し、シルバー色との対比の中で...ベラボーにカッコいい。XAが閉じた時を意識したデザインだとしたら、開いていることからスケッチ描き始めたことが想像できます。

◆このレンズ 視界良好

前玉を見ただけでその透明感に圧倒されましたが、写してからがビックリです。色彩コントラストが高い、それでいて全く濁りがない。ボケ方がスムーズでモノの厚みが浮き出る描写をします。目で見た時より写した写真の方がきれい、そんなコンパクトカメラは初めてでした。解像度でいえば、コニカビッグミニの方が細密だったかもしれませんが、ネガをプリントしてあがった写真のインパクトは他のカメラにはないものです。例えばEOSで撮った写真と比べても、周辺光量落ちを覗けば遜色ありません。32mmという選択も、その場を捉えると同時にモノを浮きだたせるのにちょうど良い画角でした。

ペンタックスのカメラは初めて使いましたが、このクッキリスッキリ+厚味のある描写、今デジカメのMX-1やK-3を使っていても感じます。

◆その他の気づき点

一つはオートフォーカス方式。当時は赤外線利用のアクティブ方式が多かったのですが、このカメラは四角い窓を二つ並べたパッシブ方式です。前者はフォーカスを計算するのに、赤外線をあてて帰ってくることを利用するので近距離は良いが、光が届かない遠距離になると弱いという耳学問がありました。パッシブ方式であればそれがない=中~遠景の描写も十分考慮しているカメラ と勝手にワクワクしました。結果として、ピントが外れた写真はありませんでした。

二つ目は裏蓋のペコペコ感。裏蓋自体の剛性が弱いというより、開閉のスキマの遊びが大きくペコつく印象です。フィルムに光線モレがないことを期待するならば、ここはしっかりきっちり締めて欲しかったところです。

最後は塗装でしょうか。シルバー色は輝きがあり大変きれいでしたが、使っているうちに簡単にはがれ黒い下地が顔を出してきます。それを知って丁寧に扱えば良い、と思わせるほどの画質ではありますが、反面、その画質を生かしていつでもどこでも撮りたくなる気持ち=やはり丁寧な扱いとはいかなかった。

リバイバル 望む

この発想で、このレンズそのままで、デジカメが出ると嬉しいですね。レンズバリヤ付きのカメラがあってもいいと思うのですが。手放したことを今後悔しているカメラです。

◇次回:バリヤは続く。アルミになって続く。