まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その40.LX100 お帰り、ミノルタ!

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◆出会い

一眼レフを持たずに軽く出かけて写真を撮りたい時にはペンタックスのQ-S1を手にとりますが、背面の液晶を覗いての撮影になるので腕をいつも前倣えの構えにしないといけません。これは老眼パーソンの宿命です。

ファンダーを覗けるコンパクトに目を向けたものの、stylus1s、続くキャノンG5X双方ともにその良さをわかりながらも生かしきれずに手元を離れていきました。

次なる候補を求め業販店であれこれ展示品の歴々を触らせて頂くと、LX100が露出補正・シャッター速度・レンズ絞りの3つ共に「グリグリ回す」ことで操作でき直感的に使いやすい。また、持ちやすい大きさであることがわかりました。ただ、値段は高い。発売からだいぶに時が経ち半値になったのを機に仲間に迎えいれました。

◆あらゆる点で MONDAI・NAI

【レンズ&画質】 ついているレンズはフィルム換算でいうと24mm~75mm。stylus1Sのようにドカーンと300mmってわけではないが覗いてパシャリと撮り去る、というナウなオジンを気取るにはMONDAI・NAI。この気取ったやり方は、しっかりホールドせず撮る場合もあるのでカメラブレが大敵ですが、レンズ開放値が望遠端でもf2.8と明るく手ブレ補正が良く効くので心配せずに済みます。

ボケの表現に関わる素子の大きさは、24mm相当の焦点距離が10.9mmと書いてあるところを見るとマイクロフォーサーズの12mmに近い。同じ尺度で8.8mmになる1インチよりも理屈の上ではぼかしやすいデジカメということになります。

画質は背面の液晶で見た時よりもパソコンやテレビで見た時に真価が発揮されます。描写が自然で且つ色味の鮮明さもあるので空間が立体的に浮かびあがるイメージになります。黒をあえてつぶさないところなど含め、全体にペンタックスに似た傾向に感じますが色の重心がすこし重く落ち着きもあります。構造やレンズがLX100と同じデジカメをLEICA銘柄でも出しているので、妥協無く作り込まれていることを感じます。もちろん、ペンタックスのFA31mmが醸し出すようなボケとキレの妙味に届いているわけではないが、記録を超えて作品が撮れるレベルです。

ただ、背面の液晶は少し濁り感がありデフォルトのシャープネスも甘いので、カメラを試写してその場で確認しただけでは解像度の点で物足りなく感じます。シャープネスは+2くらいかけても他のデジカメのようにエッジが立つことなく更に自然な描写になるのでこの設定に変えています。

このレンズの難点は、撮影状態で繰り出した時のスタイルがとても不格好にみえること。繰り出し部分に比べて固定された外周部分の厚みが大きすぎる昨今のデジカメ共通の事とはいえ、LX100はその度合いが尋常ではないため、何なんだろうコレは?と感じてしまいます。さらには、そのレンズの奥には手ブレ補正ユニットとしてブランブランのどちんこのように振れている部分がある。一眼レフのレンズが持つキラキラした宝石感は皆無です。まあ、撮っている本人としてはその姿は見えないのですが。

【大きさ】大きさはあらゆる局面において丁度良い。一眼レフだと黒光りしたウェポンをお持ちなのかと勘違いされるし、小さすぎるとこれまた隠し撮り野郎のようにも見えてしまうが、昔なつかしいフィルムコンパクトカメラに近いため、真面目にカメラをとっているオーラ全快で周りの目を気にせずにすみます。

と思ってはいますが、先ほどのブランブランレンズが伸びた状態を周りの人は目にしているわけだから別のオーラも出ていることでしょう。

コンパクトデジカメでもこれだけの大きさになると3つの利点があります。①グリップが持ちやすい。②ファインダーを覗きやすい。③右側に集中している操作系を右手で扱いやすい。特に、左目で覗く人にとっては、レンズの直上にファインダーを置くカブト型よりも左端にあるレンジファインダー風の方がスペースができて良い。  ただ、普通のポケットには入りません。首からストラップを下げての撮影になります。

【操作性】出会いのところで書いたように、操作の基本が昔の写真機のようにダイヤルなので触っていて気持ちが良いです。写真機を手にしているという気にさせてくれます。ヘリコイドでズーム操作もできますが、これはステップズームに設定しています。そうでないと、わすかな構えの差でヘリコイドが動くたびにウィーウィーと画角が変化してかえって使いづらいからです。

シャッターの感覚もMONDAI・NAI。ペコ感やグラツキがないので安心して切れます。ここは個人的好き嫌いが分かれるところですが2段押しの反力の度合いもわかり易くなっています。

また、記念撮影をデジカメを渡して撮って頂く時も、シャッターの横にIAと書かれたフルオートボタンがあるのでそれを先に押しておけば問題なくとれます。こういうボタンをシャッターの横に用意している点、使い方をわかった設計がなされていると感心します。

最後にホワイトバランス。どのカメラでもオートのままだと確実に合うわけではないのでマニュアルでバランスとる(あるいは先にとっておく)ことが頻繁にあります。LX100はこのホワイトバランスの設定が背面の十字キーの右側で直接できるようになっています。この、何がスバラシイかというと、そのままこのキーを押し続ければシームレスに太陽光やら曇天やらカスタムバランスやらを選べること。加えて、背面液晶の設定によらずホワイトバランス設定の違いをこれまたシームレスに液晶で確認できることです。LX100を選ぶとき、ソニーのRX100Ⅲも触りましたがホワイトバランスの設定を変えるにはメニュー階層に入らないと出来ませんでした。実際の撮影の場を考えた使い勝手をLX100のほうは良く考えてあります。

【ストロボの活用】外付けのアクセサリーシューにpanasonicの単体売りガイドナンバー20の小型ストロボをつけると、なんと1/250秒を超えるシャッター速度でストロボ撮影ができます。1/250秒といえばその昔にNIKONのFM2が誇っていた同調速度です。LX100だとその上の1/500どころか1/2000でも簡単に撮れてしまいます、ストロボ側で何ら難しい設定もする必要ありません。ここは一眼レフよりも優れている点ですが、LX100のカタログで特に喧伝してないので気づきにくいところです。

◆人好き好きなところ

 使い続けているうちに感じたこと、嗜好の範疇の中ではあるが改良してもらえたら嬉しいと思う点が4点あります。

【電子ファインダー】光学ファインダーと同等の見えやすさはそもそも求めていません。欲しい理由が、液晶だけでの撮影では腕を伸ばしての前倣いがキツイという事ですから。G5Xでも経験したコントラストや色味の違い、写した後の画像から選んでいるという妙な感覚、これらは今の電子ファインダーの姿なのでそこには言及しません。

一つだけ注文、電子ファインダーまわりの遮光処理のレベルを上げて欲しいと思います。日中の明るい処では、のぞいた時にまわりの明るさがファインダーの覗き側から入ってくるせいなのか、像がうすくて見えづらいと感じます。試しにペンタックスのアイキャップを改造してファインダーのまわりにつけてみたところ明らかに見えやすくなったので接岸部のゴムの形状を工夫すればここは改善するでしょう。あるいはファインダー素子自体を有機ELにするとかでしょうか。

電子ファインダーの利点の一つである明るい場所での視認性の確保。その点では、stylus1sやG5Xの方が優れています。撮るときはほとんど背面液晶は使わず電子ファインダーを覗いているのでどうしても拘ってしまう部分です。

【ファンクションボタン】LX100の背面にはFn1~3と書かれたファンクションボタンが3つ、さらにQ.menuとあるクイックメニューボタンが一つ。合わせて4つの小さな円形ボタンがあります。

これらにチマチマと機能を設定し、必要に応じ呼び出すことで動画を含むカメラの機能性を高めているわけですが、ここに昭和フタケタ世代故の問題がからんできます。

何かというと。自分が何を設定したのかサッパリ覚えていない=使おうにも忘れていて使えない という事実。わけもわからず無闇に押すと、欽ちゃんのように「なんでそ~なるの」とつぶやく羽目になります。だけならいいが、深みにはまって撮影どころではなくなることもある。なので4つもついていながらおいそれと触れないボタンになっています。

このジレンマを打ち破る奥義というのも実は存在します。

それは、このデジカメしか使わない。もう他のカメラはフィルムの写るんです。も含めていじらない。そうすれば、脳内のニューロン結合がファンクションボタンに対応して固定されるため操作に迷うことはなくなる(でしょう)。

しかし道を究めた仙人でないのでこの奥義「他のカメラを一切使わない」への道は険しい。かくして、いまではどのボタンで何ができるかを完全ド忘れしています。それでもこのようなボタンに触らなくてもきれいな写真を思う設定のままに撮れるので問題はありませんが、忘れやすくなった自分というのを再認識するというのがちょっとつらい。

【再生確認時間】デジカメの使い方は写真を撮るだけではありません。背面の液晶を見て写真を鑑賞する、という使い方もあります。例えば、帰りの電車の中とか、立ち寄った喫茶店の中とかで、どれどれさっき撮った写真でもゆっくり見ようか。そんな時、電源をONにしてから再生画面が出るまでに少し時間がかかる。この時間を短くし、できればMX-1のように電源をONにせずとも再生ボタンを押すだけで(レンズの繰り出しもなく)画像が表示されたら、と思います。

【RAW現像】メニューの階層に入って一枚一枚やるのが面倒。これは別にもっとやりやすい方法が設定次第であるのかもしれません。比べる対象がペンタックスだと、メニューに入らずに見た画像撮ったその時にすぐ現像過程に入れるので、それに慣れていると煩わしさを感じてしまう。これはペンタックスの方をほめることではありますが。

◆正体は? ズバリ。ミノルタさんではなかとですか?

 言ってしまいましたが、このデジカメは見た目も操作感も大きさもミノルタのハイマチックを思い出させます。昔、家にあったハイマチックを。それに少しだけコンタックスのGシリーズの味をブレンドした印象。

良い意味で非常に写真機らしい。他のルミックスのデジカメと比べても、このLX100だけ妙にミノルタだったらこうやる!の写真機らしさに溢れている。

ということで、LX100の上面にあったPANASONICの文字を紙ヤスリで消し去り、その上にインクジェットプリンタで印刷したMinoltaのロゴを張り付けています(近況:とうとう剥がれました、行く先知らず)。Minoltaと思えば、液晶がなんとなく濁るのも納得、そういう味付けだろうから。デフォルトのシャープネスが甘いのも納得、ロッコールだから。

今はもうない、いやSONYの中にコニカミノルタの残血は流れているのかもしれませんが、SONYよりもこのLX100の方になぜかミノルタ臭さを感じるのは不思議です。それを更に感じたいがために、デジカメの左側には市販の革シボ風貼紙を両面テープではりつけて雰囲気を楽しんでいます。

このデジカメは今に帰ってきたMinoltaの優等写真機であることをなぜだが強烈に思い起こさせます。それは大変嬉しいことだし、その思いを一切裏切らない画質と使いやすさ。故障も全くなく、これからも使っていく写真機です。

◇次回:撮ると納得、レギュラーを超えたスーパーサブ