まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その31.S1000pj 昔懐かし幻灯機

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◆出会い

良く行くアウトレットモールの中にニコンが入っており、いつものようにブラブラ惚けていた時にS1000pjを見つけ購入しました。買った時にはもうすでに年次の古い写真機(2009年製)ではありましたが、相当安くなっていたことと他では手に入りにくいことから、エイヤッと決断しました。「プロジェクタ付き」が謳い文句。

ところで、アウトレットに行くと何かを持ち帰りたいようなムズムズした気分が沸いてきます。服を買うでもなくニコンの破格値の写真機を持ち帰ることが多くなりました。

◆デザイン

小型デジカメの一種かもしれませんが、他と違う独特の雰囲気があります。好き嫌いのモノサシに乗ってこないというか。昔、コダックにディスクカメラというのがありました。アレに少し似ています。

手に持ってみると案外と重たかった。あ、これは道具というより装置だな、と感じました。

◆写す性能

S1000pjは、パッと見た限りではレンズが二つついているように見えます。前から見て中央と、右上と。しかし中央のものは、レンズはレンズでも映写用に拡大するためのものであり、写すためのレンズは右上の小窓の中に納まっています。このわすかなスペースの中で5倍のズームができ、どの焦点距離であってもレンズが外にビヨーンと飛び出したりしないので重量バランスが良い。そして、撮られる側(たとえば猫)に警戒感を与えなくてすむメリットがあります。

レンズが小さい分、起動も遅くなく撮影をコツコツとこなすことができます。ただ、対象を観察する液晶が23万ドットと粗いだけでなく、コントラストが低く黄色がかってみえるので撮っていてあまり楽しさを感じません。また、フォーマットが4:3か16:9しかないので、町のプリント屋さんで3:2にプリントしてもらうと像の一部が欠けて勿体ない気がします。

しかし、そうしてプリントされたものを見ると、背面液晶で見るのとは違って かなり綺麗に写っていたことにビックリしました。質感描写のレベルが高い。写真をとってもプリントしない人も多いでしょうから、液晶の質に引っ張られて画像性能が良くないと勘違いされていたかもしれません。

また、4000×3000の大サイズだけでなく、640×480や1280×768の小さなサイズでも撮影できるので、見て鑑賞するだけでなく文書に取り込むときなど、とにかく画像1枚の容量を低く抑えたい時には重宝する仕様です。

パソコンで画像を確認するとホワイトバランスが崩れていることに時々気づくことがありましたが、一眼レフではないので非難することでもありません。液晶の質が低くてホワイトバランスの良否を撮ったその場で確認できるような写真機ではありませんし。

S1000pjは、映写プロジェクタを組み込んだことによる全体コストの制限や、「鑑賞はプロジェクタでせよ」のつもりで液晶のグレードをケチってしまったのかもしれませんが、撮るために液晶を使うことにも配慮して欲しかったなと思います。

◆映す性能

 さて、この写真機の最大の特徴である「映写機能」です。結論からいえば、個人的には十分楽しめました。

どんな使い方かというと、ベッドの上にダラダラと横になり天井に映すというパターンが多かった。部屋を真っ暗にすれば、何とか視認できる程度の明るさではあるものの、「壁面に映したものをみている」ことに感動です。

映写画素が640×480しかないので細部をみるのは到底ムリなことは承知の上で、こんな小さなモノで映写機能が一体化されている、まがりなりにも機能している、その事実だけで満足でした。

ただ、映写していると本体がものすごく熱を帯びてきてこれはヤバイのではないか?という心配だけはありました。いきなり発火してベッドのシーツや枕に着火、しかも真っ暗な中で。。。これを想像すると怖いです。

別の使い方としては、机にS1000pjを置いて壁に映す。といっても、遠くの壁ではなく、すぐ横の壁。これだと、部屋を真っ暗にしなくてもA4までの大きさに抑えれば何を写したかは十分わかります。写真機の液晶だと、たとえそれば高性能であってもせいぜい3.2インチどまりで視野角の制限もあるが、映写だと視野角の制限がないので複数の人間で画像を確認するのに向いてます。

プロジェクタという言葉を聞くと、企業プレゼとか大画面映画鑑賞の方が頭に浮かびますが、この写真機の性能ではそもそもそんなこと出来ません。なので、小型幻灯機という言葉の方がしっくりきます。天井に薄ぼんやりと映し出された写真をみてると、小学館の良い子の雑誌「小学2年生」7月号の付録についてきた「ドラえもんの幻灯機」を思い出す。色付きセロファンの後ろから懐中電灯を当てるアレです。

◆今でも欲しい幻灯機

プロジェクタ機能のついた最初の写真機がこのS1000pjですが、その後にニコンから後継機が一つ出たり国外メーカが出したりしたあとは、この機能を搭載したものはパタッとなくなってしまいました。

コストがかかるのか、バッテリの持ちや制御に難があるのか、映写品質に不満があったのか その辺の事情はわかりませんが残念なことです。

なにしろ、撮ったらあとは別のデバイスを使ったりSDカードを移し替えたりすることなく、手元に小さな写真機1台あるだけで「大きな画面」で見れることは大変嬉しかったからです。余分な手間なくドーンと見れるだけで価値がある。

と思っている人は少数なのかもしれません。それでも、SDカードを移し替えたり無線で飛ばしたりしなくても映写できる機能を今でも渇望してやみません。移し替えてパソコンやテレビの大画面で見たら、色再現や精細さなど それは目を見張りますが、所詮テレビ自体が大きいので「そりゃ当然だろ」と思ってしまいます。見ている画面はテレビの枠よりは小さいわけですから。

もし、電源管理の問題だったというならば、コンパクトな写真機におさめなくても構いません。

例えば、一眼レフのホットシューにメーカオプション品として装着できる小型プロジェクタがあっても良いと思います。一眼レフ側の画像を呼び込むためにプロジェクタとの間に連携ケーブルがあったり、電源を自ら供給するためプロジェクタのガタイが大きくなったとしても、「一体化されたモノの中で映写ができる」嬉しさをまた味わいたい。

ペンタックスあたりがやりそうな気がします。究極のフィールドカメラ、野に出て自然と向き合おうと語るならば、テレビもないパソコンもない無線すらも届かない洞窟の壁に撮ったばかりの写真を映写するくらい本気でやりそうな気がする。

◇次回:これは、ちょっと、寄り道してしまったのか? ニコンなのに。