まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その45.iphone12 敵か味方か

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◆出会い

アイフォン12。まあ、カメラかと言われるとスマホです。でも写真が撮れることには変わりないので今回は登場とあいなりました。これを選んだ動機は、キレイな画像を楽しむための(そしてグリグリいじれる)カメラが欲しいということではありません。

フリップ式携帯+パソコンで昨今の電波情報環境にいつまでも対応しているわけにもいかなくなった「ある事情」が生まれ、それではスマホデビューするのに何が一番カンタンそうか?で選んだのがアイフォン12です。周囲を見渡すとガラケー野郎はゼロ。完全に乗り遅れてしまいもうスマホなんか使えないとアウアウしていたのにデビューへの決断を促した事情。それはメルカリでした。

高校生の時に車のプラモデルに凝り始めたのをきっかけに40数年、手元には組み立てていない箱のままのプラモデルが120個くらいありました。老眼+近視+乱視が進んだ今となっては組み立てることおぼつかず。狭い部屋をただただ空気体積80%の紙箱の山が占拠している状態が続いていました。模型雑誌にのっている買取店に電話してひきとってもらおうと何度も思いながら、どの品にも愛着があるのでどうせなら本当に欲しい人に受け取って欲しい気持ちがあり躊躇していました。そこに、メルカリ。

パソコンの中でヤフオク!を一度使ったことはありますが、どうにもやたら文字が目につく画面デザインになじめず。そして、メルカリというのがあることを知り本屋でガイド本を買ってみたところ、手順がシンプルに見えてこれならできそう。ただ、写真を撮ってすぐに売りに出すというステップではカメラが一体となったスマホの方がだんぜん簡単。 ということで、

プラモデルの箱の中に埋まっている→減らしたい→メルカリを使おう→カメラと送信側が一体化したもの→スマホが要る→簡単そうなやつ→アイフォン12 となりました。近くのDOCOMOショップで5ギガライトで契約、さっぱりわからないので横で嫁さんの指導を受けながら購入と電波契約を済ませました。

 

◆カメラ、写真機としての感想

あ。これは凄い。端的にいえば、写真を始めた時に撮りたかった写真が簡単に撮れてしまう。

大昔にKODAKポケットカメラを手にして格闘していたのは、シャープでピントのあった写真を何とか撮れないかということ。今思えば、ポケットサイズというフォーマットの問題、固定焦点という問題、なによりも自らが引き起こすすさまじい手ブレの問題が複合的に重なればそりゃシャープな写真なんか望むべくもない とわかりますが、当時は写真というのは画面の隅々までシャープに写るものだという妄想が昆虫図鑑のカラー写真とか雑誌の広告写真を見て膨らんでいたので、それはもうショックの度合いは大きかったです。写真家あるいはカメラマン=世界中で最もシャープに写真が撮れる人 と思っていたわけです。

それでいうと、アイフォン12は何の気無しに撮った写真どれもがガチピンときている。しかも、色がキレイ。階調もつぶれていない。撮影している時は片手保持も多く、持ち手はブレブレの中でコレです。

だけど、これまで撮りためてきた感覚とは違う絵になるのを感じました。それは、撮るもの何でもが「広角」のパースペクティブで収まる ということにあります。

普段から何気なくカメラを除いた時の画角が50mmくらいなので、このアイフォン12の画像の遠近感はなかなか馴染めない。たまに広角ならいいけど、撮るもの全てがこの遠近感で写るということに対して。24☓36に換算して26mmだそうです。

ただし、アイフォン12にはその上のグレードとして12proがありソチラは50mm相当のレンズが追加されています。それを使えばこの遠近感の問題は容易に解消されてしまう。また、使いにくさは感じるけども射影変更できるアプリで遠近感そのものを調整するという方法もあります。

そんなことを考えていると、そのうち本当に写真機はスマホにとって替わられてしまうという気もしてきました。フィルムがデジタルになった時に、「家にいながら」カンタンに調整できる・カンタンにプリントできる・カンタンに焼き増しできる。いわば「外」→「家」という変化がありました。ガラケーのカメラではソレが「家にいながら」カンタンに外に送れるという「家」→「世界」という変化があったものの画質がショボくメモとしか見てませんでした。

ところがアイフォンだけでなく今のスマホのカメラ性能ならば、まさに写真が撮れてしまう。なにより「どこにでも送れる・置ける」し、手に持つ物品として一つで済んでしまう。

一眼の単焦点のようなボケは表現できないでっしゃろ、といってもボケ効果(チック)を付加する程度ならアイフォンの基礎アプリの中で撮影時にできてしまう。その後の処理にかける手間を厭わなければ、より詳細に調整できるアプリもあります。

撮っている最中あるいは撮った後での加工によって、記録としてだけでなく作品としての写真もそれらしく出来てしまう時代になったと感じます。

◆写真機はいらなくなる?

実際、スマホのカメラ性能の向上に伴い記念写真が撮れれば良いといった低価格のデジカメはあまり見かけなくなりました。たぶん、撮れれば良いというだけではより美しく失敗なく撮れるスマホには太刀打ちできないからでしょう。写真をフィルムのように別メディアとして手に実感のあるものとして残しておきたい、という人はいるかもしれませんが。

さらに、最近は画素数を伸ばしてきたスマホも見受けられます。そうすれば、一部分を拡大してトリミングしても像が破綻しないので、簡易望遠としても使えることになり低価格デジカメだけでなくレンズ交換式写真機もうかうかしてられなくなります。

nikonのA1000のように超望遠がグイーンと効く、というのは写真機が生きる一つの道かもしれません。逆にいうとそこらあたりしかないとしたら、厳しい。そもそもそれを求める人は少数でしょうから。

ただし一つ感じるのはアイフォンで撮影していてもそんなに楽しくはない。

これはファインダを覗かずに撮影するという行為に関わっている気がします。撮影しているモニタ-液晶の外に本物の姿がどうしてもチラチラ見えるために、「本物をコピーしたモノあるいは加工されたモノを撮っている」というズレ感から来るのかもしれません。一方、ファインダで撮るときには、そのフレーム内しか見えている世界が無いので、本物とコピーとの対比を素感覚で意識することはありません。ファインダに見えるのが光学ファインダでなく小さな液晶や有機ELであったとしても、ソコから外の本物が見えないことには同じなので、コピーを切り取っている感覚はないです。逆にだからこそファインダの場合は実際はこうだろうと想像しているイメージと見える像が違いすぎる場合、たとえば色が違うとかコントラストがきついとか線が太いといったことが余計気になってしまうところはあります。

この、ファインダがもたらす臨場感というのが写真機しか味わえ無い楽しさの一つだと思います。

もう一つの写真機ならではの楽しさ、それは物理スイッチの触感ではないでしょうか。アイフォンを手にとると、スイッチらしきものは電源と音量の上下くらいで後はタッチパネルでの操作。ピント位置を変えたり、露出を変えたり、レンズ倍率を変えたり そのどれもがタッチ操作です。便利である半面、タッチするということは指の一部だけでなく案外と手を動かすことになるのでスマホへの保持があいまいになる。一方、写真機の場合は専用のボタンなりダイアルなりを押したり回したりするのは指先だけで済むので安定した保持を保ったまま操作でき、且つ指先への機械からの反力を慈しみとして味わうことができる。車のハンドルを回したり、オーディオアンプのボリュームをクイッとやるのに似た操作している楽しみです。

というようなことをもっともらしく語るのも、

タッチパネルどころか液晶さえカシオの電卓しか知らなかったジジーならではかも知れません。だって、究極に構造を削ぎ落とした「写ルンです」にさえついていたファインダとダイアルが無くなる時が来るとは思ってなかったから。

裏を返せばそのノスタルジーに浸りたいだけの願望を、単に写真機ならではの楽しみと言い換えているだけのような気がしてきました。いかん、負けるなジジー。わしらのわずかな楽しみも奪わんでくれー、やめてけーれゲバゲバ。いかんいかん。

しかし。

そんな写真機の断末魔を救うどころか、新たな可能性を見出すこともアイフォンはやってくれとるのです。アイフォンもといアップルさんがやったというよりは、傍目にはニコンさんが勝手にそれもコソコソやっている気もするが。それは。。。

◆スナップブリッジ。下手するとアイフォンのカメラを瞬殺しかねない最終ウェポン

AppStoreにあるアイフォンのアプリです。グーグルにもあります。無料です。ええ、その通りセブンブリッジの初心者向けアプリでトランプゲームの定番。ただし賭けは出来ないお子様向け。違う違う。名前はそんな感じだけど、これはニコンの写真機で撮った写真をスマホに自動転送するアプリです。ニコンさんはストロボのことをスピードライトと言ったり独自の言語的センスをお持ちでいらっしゃるから、あやうく道を誤るところでした。ふう。スピードライトだって、超音速で複葉機を飛ばすライト兄弟かと間違えかねないからそろそろやめて欲しい。あるいは早く仕事を片付けるのが正義で中身がいい加減な昭和サラリーマン根性なのかとも間違えてしまう。

という話ではなく、スナップブリッジのもう一つの機能としてスマホから写真機をコントロールすることもできるが、これは今まで散々難癖をつけてきたタッチパネルうんぬんを逆に礼賛するようなことになるから立場上割愛します。

最初の話。スマホに転送できるについて。そんなの、今どきのデジカメなら当たり前でしょう。では済まないのがこのスナップブリッジです。箇条書きすると

ニコンの写真機で撮ってすぐに「いつのまにか」アイフォンに転送されとる!

②「何もせんでも」1620☓1080画素にリサイズされて転送されとる!

③アイフォンが家のWIFIにつながったままでOK。だってブルートゥースやけん!

④転送するたび電池喰うでひょ。いやいや、転送モード常時ONでも大丈夫!

解説します。

①:普通はアイフォンのアプリをよっこらせと起動し、写真機で撮った画像のサムネイルがズラーと表示されるのを待ち、その中からアイフォン本体に落とす画像をプチプチ「選んで」呼び込むという作業がいります。一つ、アイフォンで画像一覧を見る。二つ、アイフォンで画像を選ぶ。この見て選ぶという手間が結構たいへんです。ところが、このアプリはカメラで撮ったらすぐにアイフォンにコチラが何の指示をしなくても、アプリを立ち上げてなくても、更にはアイフォンがスリープ状態でも、ドンドコドンドコ送りつけてくる。送りつけられていることも意識しないので、アイフォンの写真フォルダを気が向いたときに開いてみるとニコンの画像がダーと並んでいる。アイフォン自身で撮った画像との間に何の区別もなく紛れ込んでいるといってもいいでしょう。言い方を変えると、「アイフォンのカメラの先がニコンの写真機に直結している」ような感じでしょうか。

となると。

アイフォンのカメラで撮ったらキレイではあるけど自分のイメージに近づけるために後でテロテロと加工したりするのが、ニコンで撮る時は撮っている最中にそのテロテロを終了済み。なんと、写真として仕上げる手間がアイフォンでやるよりも簡略化されちょる、ということになります。差別なく画像として扱われているので、その後にアチコチに電信したりするのもお手のもの。

②:アイフォンに送られてくる時に、最初に「縮小サイズでヨロシク!」と設定しとくと、あとはアプリを終了しようがアイフォンの電源を切ろうが、また使う時にはいつでも縮小サイズで転送してくれます。これが、元画像がRAWファイルであってもお構いなしなので、昔やっていた転送することを考えて撮る時の画素数を小さくしたりJPEGに変えたりなんてことは必要ない。そして、その容量が700kB程度、アイフォン12で撮る場合の1/3から1/4しかないのでアイフォンの残容量を気にせずニコンでドンドン撮れます。1620☓1080あれば、テレビに映してもHV画質ですし。なんといっても、画素数を誇る写真機の画像の方がアイフォン本来の画素数より小さくても構わん、という逆転の割り切りが気持ちいいです。なので、用途も割り切って使えるわけです。

③:このスナップブリッジはWIFI経由でもつながりますが、何といっても本領発揮するのはブルートゥース接続です。①や②の自動転送はこれでやります。WIFIでないので、家とかモバイルルータとか4Gにつなげていた接続を切ってニコンの写真機特化で接続し直すなんてことは要りません。WIFIWIFIでインターネットやメールのためにつないだままにしといても、ニコン写真機との連携は一切かまわない。これが、さっきのアイフォンのカメラの先にニコンがくっついているイメージを生んでいます。

そして、このブルートゥース接続が一度ペアリングができてしまうと、写真機やアイフォンの電源を切ったあとにもう一度使おうとしたときでも何の苦もなくつながる。時々、ブルートゥースのイヤホンがつながらなかったり町中で切れたりすることがありますが、そういう接続ミスが起きないという安心感があります。

④:その昔、Pentaxを使っていて画像をパソコンに無線転送しようと思いFlashAirという無線付きSDカードで飛ばしていたことがあります。売り文句は確か、JPEGだけでなくRAW画像でも飛ぶ、だったでしょうか。コイツがものすごく写真機の電池を消耗します。あっという間に減っていくという言葉が当てはまります。

ところが。スナップブリッジというアプリは、もともとがWIFIでなくブルートゥースであることに加え、そのブルートゥース自体も更に省電力仕様とかで電池の減りが少なくて済みます。これは単なる能書きではなく、実際に使っていてもわかります。なので常時接続をONにしています。それで問題はありません。

このように、①~④をダラダラと書くと余計に何が嬉しいのかわからなくなってきたので一言でいうと、「アイフォンの先にニコンがくっつく」アプリということです。

使い慣れた一眼で、仕上がりを想定してグリグリとダイアルをいじり、「今だ、ソレ!」で撮った写真の方が、どうしてもアイフォンの画像を後加工するより印象が強いモノが撮れます。

ということは。アイフォンに備え付けのカメラ機能を使わなくても、思い描いた写真がカンタンに撮れるということになります。アイフォンのカメラを不要にしてしまいかねない恐ろしいアプリです。キャノンやソニーペンタックスも同じようなアプリを揃えているとは思いますが、「画像をリサイズして、本人の了解なくブルートゥースでササッと確実に送るワザ」これを写真機各社が一斉にやりだしたら、スマホのカメラの高機能化=高価格化は頭打ちになり最低限のメモカメラ機能さえあれば良い。になってしまいます。実際は、今更写真機なんか別で持てるか、スマホで十分なのに。とか、余計な接続とか面倒なことしてられっか とかが大多数でそうはなりません。でしょう。

しかし、写真機を追いやったはずのスマホが、逆に写真機に利用されとる というのが出てこいシャザーンの掌の上を連想させ興味は尽きることなく続きます。

◆と思ったら、アップルさんの抵抗強し(だと勝手に類推している。かしこ)

この手の写真機画像転送アプリ系を野放しにしていたらイケナいと気づいたのか、あるいは自動でドンドコドンドコ落ちるというのがセキュリティ上許せないのか、その辺はわかりませんが、スマホがOSを更新すると何故かスナップブリッジで新しい写真機をペアリングする時にエラーになってしまうのを何度か経験しました。そういう時はどうするかというと、しばらくしてアプリ側がアップデートされるのを待ちます。そしたら、またOSの方が変わって。。。とこの戦いは一進一退の攻防の様相を呈しています。

アプリ側のアップデートが待ちきれない時はどうするか。これはググッてその通りにしてやった例をいうと、アイフォンの言語設定を日本語から英語に変えてやるのです。その状態だと確かにペアリングが巧くいき、そのあとに日本語に戻してもキープされた状態が続きます。おそらく、アメリカの方がこの「スマホの延長としてのニコン」の要望が多く、早く対策されるせいではないかと思ってます。

スナップブリッジ。このアプリは、ニコン写真機の画像を一挙にお手軽に世界に発信できる武器、アイフォンを購入した満足度は確実にあがりました。もともと世界につながっているスマホの上に乗っかるとはさすが写真機メーカはすごい。

◆関係ないけど 当初のアイフォン12の目的、その達成度

最後に、メルカリでプラモデルを出品はうまく出来たか? について。

出来ました。出品もブツの梱包も配送方法も全くわからないので、メルカリが定期的に無料で開催している出品初心者セミナー(ウェビナー)に申し込んで、40分くらいフンフンと話を聞きながら手元に用意しろと言われた物品、このときはロータスエランの1/24スケール(グンゼ産業製)を捨て駒として画面向こうの先生のマネをして写真をとったり説明文を書いたりしました。「では、皆さん、出品しましょう!」というので「え、え、もうやるの」と焦りながら出品ボタンを押したらウェビナーも終わらぬうちにすぐに買い取られてしまった。「え、え、えー、次は何するのー」という感じで、すぐ梱包部材を買いにいったりとビビりました。そんなこんなで、無事やり方を覚えて今では50個近くが手元を離れていきました。あとまだ70個以上あります。

◆次回:4500万画素+新マウント

次は高画素一眼を21年の12月に購入したので書いてみようと思います。いやあ、ここまで写る、というかこれまで使っていた2000万画素と全く違うとは想像もしてなかった。○9に押されて地味な存在だけど、使っていると40年まえのニコンFGを思い出します。それもまた楽しい。