まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その46. ニコンZ7Ⅱ 令和新時代

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◆ショック。。。

いつもは写真機との出会いから書き始めますが、今回はショックから。上の絵です。例によって鉛筆で下絵を書いて万年筆でシコシコなぞって書きました。出来上がってみて気づいた。

「レンズがラッパになっとる!!」

実物はNIKKOR Z24-120mmといいます。超カッコエエ外観を有し、使い心地も良い。力が入りすぎたせいか遠近の取り方が狂ってしまいました。

◆出会い

このZ7Ⅱに目を向けたきっかけはレンズでした。といっても上のラッパさんではなくタムロンの45mmレンズです。D750で使っていて、このどこまでも刻み込むような解像度、もっと画素数の大きい写真機だったら一体どうなってしまうんだろうとずっと思っていました。

だけど4000万画素以上あるD850は見た目がデカすぎて(値段もデカすぎて)こりゃ違う。Z7があるなあ、小さいし持ちやすいなあ、中古で安くならんかなあ、とネットをいろいろ見ていて注文直前までいきました。しかし、タッチの差で誰かさんにさらわれてしまった。その頃にはZ7Ⅱが発売されていましたが、「どこまでも解像」という点で差があるとは思えず、量販店で比較して触れた時のシャッターフィーリングはむしろZ7の方が心地よく感じられました。それに何と言って値段の開きが大きい。

ところが。

youtubeでZ7とZ7Ⅱの画質を比較している動画を見て、「うわ、こりゃ結構違うで」と認識を新たにしました。その動画を出しているお兄さんはどちらかというと、Z7の方が低感度では繊細だと評して自ら撮った作例で説明されているのですが、手前の古いパソコンの2K画面で見ても「いやいやいや、ISO64でも逆ではなかとですか?」Z7Ⅱの方が細いし自然な写りをしていました。

ググッと気持ちが動いた時に、このお値段だけど行っちゃうか!と舵を切らせたのはNIKKOR Z24-120mm(ここでの通称はラッパ)の発表でした。F4の明るさ一定で、APS-Cクロップも併用すれば24~180mmまでをカバーしてしまう。見た目は(知らんが)何か写りが抜群そうな雰囲気を醸し出している。こればお迎えするまえに、それなりのボディを用意ばせんと。

ちょうど、Fマウントレンズを装着する場合のアダプターが新型のFTZⅡに変わり出っ張りのないデザインに新調されたことも背中を押しました。もともとはFマウント対応のタムロン45mmをつけることが大前提、中間に挟むアダプターが持った時に控えめであることが望ましい。

と、いろいろ理由をつけてお買い上げさせて頂きました。こんな高い写真機は初めて、ひいい。

ニコンのシルエット

最初は外形から。この写真機はミラーレスにも関わらず、そのシルエットは一眼レフのD750よりもマニュアルフォーカスの頃のニコン一眼レフに近く見えます。それはペンタ部分を除く上面と下面の間隔が左端から右端まで均等に並行であるせいかもしれません。

Z50に似てるように見えて直線の通し方はZ7Ⅱの方が徹底しているため雰囲気はだいぶ違います。上面右側に絞りやシャッター速度などの状態を表示する液晶があるのですが、ここも真っ平らなところがマニュアルだった頃のニコンに共通する道具っぽさを感じるところです。

◆指で押す それが自然にできる操作性

では、何から何まで定規で引いた線かというと、指の動きに係わる所については良く考えられていると感心しました。

たとえば、AF-ONボタンは少し右手側に傾斜させてついていたり、その下にフォーカスポイント選択ボタンがあったり。上下にフォーカス関係のボタンが並んでいると、操作するときの右手親指の移動が指を伸ばすことなく出来るので楽です。

また、写真機の設定を一覧で呼び出して変更するためのiボタンがその下にあり、これも親指を第3関節(というのかな)を中心に動かすだけで済むのでファインダを見ながらのアクセスが楽チンです。Z50だとiボタンがD750と同じようにもっと下にあるので、操作しようとすると右手の持ち方を少しずらす必要がある。億劫だなあと思って段々やらなくなるけど、Z7Ⅱの配置なら大丈夫です。

そしてシャッターボタン。これはZ7Ⅱに限ったことではなく、これまでのニコン、そしてキャノンにも共通することだと思ってますが、落とすというよりは握ることで切れるような位置にシャッターボタンがあります。「握るように」と感じるもう一つの理由としてグリップの良さもあります。コンタックスペンタックスではシャッターはやや落とすイメージになるのはグリップのせいかなあと思います。

握る感じでシャッターを切れるので、自己満足かも知れませんが手ブレを最小限に押さえられているだろうという安心感があります。

◆令和の写真機 その1 ホワイトバランスが良い

さて、それではZ7Ⅱを実際に使ってみて感動したところを書き留めていきます。

ファインダや液晶が自然で且つキレイに見えるというのはZ7Ⅱのレビューで良く目にしますが、ここでは「どんだけラクに撮れるか、そのおかげで、撮ることのみに集中できる」という見方で紹介しようと思います。

その1として最初に挙げたいのはホワイトバランスです。

オート設定の中に3つの選択:白見優先/雰囲気を残す/電球色を残す がある中で2番めの雰囲気を残す にするとほぼ肉眼で見たイメージがファインダー内に再現されることに驚きました。Z50を使っていて同じ設定をしてもここまで実物に近い色合わせはされない。まず、このホワイトバランスの性能に驚きました。

もちろん、天候の次第によってはオートから外して晴天やその他に設定した方がいいこともありますが、とにかくホワイトバランスの色味が自然です。ひょっとしたら、ソニーにしてもキャノンにしても今のフルサイズミラーレスではこれが当然なのかもしれません。触ったことないのでこれは何ともいえませんが、これまでのデジタル写真機で長い時間を共にしたペンタックス一眼レフの場合は自分でケルビンをマニュアルで合わせたりグレーカードで基準をセットしたりしてもここまで合うことが無かったのでこれは写真を撮るのがとても楽になりました。

◆令和の写真機 その2 ピントが合う

え、そんなのオートフォーカスだから当然と言われそうですが、これもペンタックスを引き合いに出して申し訳ないですが、

当たるも八卦K20D<K5<K3(=実はEOS100同等だったりして)<<D750 とピント精度が向上していく様を写真機が新しくなるたびに体感し、そのたびに「スゲー、スゲー」を連発してきたこれまでと比べても D750<<<Z7Ⅱ。

くらいの進化です。ピントの合う速度でいえばヨドバシさんでいじった感じからしてキャノンの方が早いですがこのZ7ⅡもZレンズであれば不満なく早いと思います。そして、同じ事をまたいう酔っ払いみたいですがピントの精度がとにかく高い。これでハズしたら単に自分の体が腹筋と背筋の弱さを反映しプルプル前後に震えていた、もうソレ以外には考えられない。

写す対象の99%は止まっているものなので動いているものを追うときはどうなのかはわかりませんが、その限りにおいて全くピント精度を気にしなくていいというのを初めて経験しました。たぶん、同じニコンのZ50もそうかもしれません。ただ、Z7Ⅱは装着するレンズも含めて重量が重めなので、老齢化プルプル自励振動(制御不可)を抑え込む効果もあるのかも知れません。このプルプル起因のピントズレもオートフォーカスの設定をAF-Cに設定すれば解決するようですが、常にレンズのピント機構が動いているというは昭和ふたケタ世代としてはあまり気持ちのいいものではないので重さがプルプルを止めてくれるならそれに越したことはありません。

◆令和の写真機 その3 小さい

そりゃあ、ミラーレスですから。ミラーボックスないから。という物理的容積という話でなく この画素数で、この余裕ある階調で、という感覚に対し小さい。

というのは、D750、D850と連なるニコン連峰をイメージしてきたので、その最高峰であるD850岳と同じ画素数が、このD750より小さく軽いガタイの中で実現されてしまっているという違和感が「小さい」という歪んだ感覚を想起させるのです。

実際、両手の中での収まりが良く、あれ、この感覚? そうニコンFGを握っていた頃のものに良く似ていると感じます。FGの方がもっと軽いのですが中が金属の塊だったせいか重さ感がそれなりにあり、なぜかZ7Ⅱとドッコイドッコイに感じるのが不思議。

まあ、4000万画素を超えるのにこの大きさなので取り回しや操作が本当に楽です。

ソニーには更に多い画素数で更に小さい機種もありますが、昔触れたときのシャッターボタンのフィーリングが合わずそれっきり触ったことありません。今ではその辺も改良されているでしょうから、小さいけど画素がデカいはニコンにかぎらず令和の写真機の基本なのだろうと思います。

◆令和の写真機 その4 画質がキレイ

Z50の画質を目にしたときもD750とくらべてムムムッと思いました。でも、このZ7Ⅱの画質はそのZ50よりもキレイです。線や面のつながりがスムーズです。そのくせ、画像を拡大していくとどこまでも解像しています。そして、すっきりしていて濁り感がないので見ていて気持ちがいいです。

もうコレ以上いいやってところまでキレイに勝手に撮れるので、その後にライトルームで「まず最初にキレイにする」という手間が省けて これも楽です。RAWで撮影してますが、現像することがめっきり減りました。現像しないで、撮った写真はどうなっているかというと、ニコンの最終ウェポンのアプリであるスナップブリッジの勝手に1620☓1080画素にリサイズしてくれる機能を使ってもっぱらアイフォンに転送しています。

◆令和の写真機 その5 つながる

これは前述のスナップブリッジのおかげです。元がRAW、しかも4500万画素を超えるのに文字通りサクサクッとアイフォンに自動で転送してくれます。これ、JPEGにするだけでも大変でなかろうか、26分の1までリサイズするのも大変でなかろうかという余計な心配をヨソにサクサクッと。アイフォンの先にZ7Ⅱがくっついている感覚で送られてきた画像を自由に扱える。元がJPEGならわかるけど、元が300万画素ならわかるけど、一体どういうソフト処理になっているのだろう。楽です、本当に。

◆令和の写真機 その6 水平垂直取りやすい

どうしても下手くそな時代がありました。結構長い時代でした。なんで下手くそなのかがある時に突然わかりました。水平と垂直が取れてなーい!!

自分では画面の中の窓枠とか道路とかを参考に撮影した気でいても、いざプリントやスライドができるとウゲゲということが何度も。

そんなときに、ペンタックスでもD750でも今どきのデジタル一眼レフならどれだけ傾いているかをファインダ像の下に簡易的に表示してくれる機能があって随分助けられたと思います。特に縦に構える時なんかは、自分では水平垂直を出しているつもりなのに、スゴく傾いていることが多かった。大丈夫か三半規管っていうくらいに。

しかし、それも画面の下にテロテロと出るくらいなので厳密な精度が出せるものではない。これに比べミラーレスだとZ50の時に知ったのですが、画面のど真ん中(昔のマニュアル一眼レフのスプリットプリズムがあるあたり)に水準器をドーンと出してくれるのでだいぶ水平垂直が精度良く取りやすくなりました。

しかし、一点難点もあります。あまりにもドーンと表示されるので、肝心の撮影対象を邪魔している感が強い。というか、はっきり邪魔でしかない。

これが、Z7Ⅱの水準器だと控えめな表示に変わっているので見ていて許容できるレベルに落ち着いています。さっき書いたところのスプリットプリズム程度には許容できる。ということで常に表示させるようになりました。

おかげで水平垂直をとるのがとても楽です。その効果は、実際に撮影された写真をみれば「あ、良かった」と実感できます。ポスト処理で傾きを補正し直したりしなくて良いのでラク

◆令和の写真機 その7 いきなり望遠

まあ、このいきなり望遠ワザは平成の貴公子D750でも使っていたもの。フルサイズの写真機で、APS-Cサイズに撮影範囲をクロップする、というワザです。

ただ、これには弱点があってそれは画素数がその分減ってしまうので、後でトリミングしようとすると厳しい。これがZ7Ⅱの場合は、元々の画素数が多いためAPS-Cサイズにクロップしても2000万画素くらいは確保できているので後で削るとかしてもそこそこ対応できます。

そして、ミラーレスの電子ファインダなので、APS-Cサイズにクロップしても、一眼レフみたいに枠がちっちゃく狭まる、というやや悲しい見え方になるのではなく見ているファインダ像一杯に表示されて気持ちがいい。たとえば、同じZマウントのAPS-C専用のレンズをつけてもZ50につけている時と見え方の差はない。むしろ、ホワイトバランスや全体の画質の余裕からして好ましい撮影結果も期待できる。

いきなり望遠ワザは、応用としてレンズを小さく軽くするワザ=あえてAPS-C専用のレンズをつける という禁じ手も使えるわけです。実のところ、たまにしか望遠撮影をしないので、その手のレンズはAPS-Cサイズで重量が軽い50~250mmレンズしか持っていません。それでもフルサイズ換算で望遠端375mmまでいけます。画質もキレイです。

◆令和の写真機 その8 ボディ内手ブレ補正

これは一眼レフのペンタックスミノルタでは出来ていたことなので、令和になってというものではありません。ただ、効き方に大きな差があります。なんとなく気休め、まあブレていたとしてもそれが普通というレベルから、ブレていないことが普通になりましたから。組み合わせるレンズに手ブレ補正機構がなくても遅いシャッター速度が使えるので楽です。冒頭にあげたラッパに見える24-120mmのズームがZ7Ⅱと組み合わせることで万能感が更に増すのは、この強力なボディ内手ブレ補正のおかげです。シャッターをサイレントモードいわゆる電子シャッターに設定すると、補正効果がより効くようになります。そんなこんなで、一時はZ7の方がZ7Ⅱよりシャッター音が良いとか言ってましたがもう音のことはどうでも良くなりました。だって、音がしない使い方がデフォルトになってしまったので。(一方、シャッターフィーリングは音のありなしに関わらず大事ですが)

いつのまにか、あれもこれもと気付き点が8つになりました。写真を撮るのが楽になったと実感しています。

◆最初の目的について

最後に、タムロンの45mmの話をします。もともとはこの解像度を活かすべくこの写真機に目が向いたわけですから。

結論からいうとこのレンズを組み合わせた使い方はしていません。FマウントとZマウントを結ぶアダプターのFTZⅡを介して使うことになるのですが、オートフォーカスが非常に遅くて実用的ではありませんでした。タムロンのレンズ用デバイスのタップインコンソールを使ってレンズのファームウェアをバージョンアップしないとFTZⅡとZマウントの組み合わせで使えない、てなことが書いてあるので買いましたとも、タップインコンソール。バージョンアップ、ええ、しましたとも。それでオートフォーカスは何とか動くようにはなりますが、そのスピードは令和にあって明治時代を彷彿とさせます。

とはいえ、純粋に最近の写真機はすごいなあ、というのを実感できたブツなので大満足です。同じZマウントなのに、Z50にくらべ安定感が半端なく違う。それが良くわかりました。

◆次回

次に買い足したのもZマウントのニコン写真機です。Z50よりも操作感はこっちの方が好きかも。。。というと察しがつくかと思います。