まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

案ずるよりマウントアダプターが易し

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iphone12

◆1972年: あるレンズが誕生した

   1. 腹ペコのまま学校へ行かぬこと

   2. 天気のいい日に布団を干すこと

   3. 道を歩く時には車に気を付けること

   4. 他人の力を頼りにしないこと

   5. 土の上を裸足で走り回って遊ぶこと

ゴウヒデキがM78星雲に戻るとき、次郎少年に託した誓い。

今の自分はどうだろうか。マルバツをつけてみると

1.バツ:午前10時を過ぎると社食の献立を見てしまう。なんせシニアだから。

2.バツ:天気のいい日こそ布団に入っている。うぬ、その方も同じでござったか。。

3.マル:歩くこと自体に気をつけねば。右足、次に左足、そして右足。 痛!

4.バツ:人間は社会的な動物である。と、ゴウヒデキに教えてあげたい。

5.サンカク:裸足の時は足指拡げパッドをはめている。開放感、ベリグー♡

と、まずまずの成績であった。

 

この誓いが生まれた1972年に、プラナーと呼ばれる50mm f1.4レンズがカールツァイスからヤシコン一眼レフの標準レンズとして誕生した。

カールツァイスの50mmf1.4 標準レンズ

標準レンズの何が「標準」か、というと 一般の人がフンパツして一眼レフを買った時にカメラにフツーにくっついている だから標準 だと私は思っていた。

そして、そこから28mmの広角とか135mmの望遠とかに手を出すことなく、50mm一本だけ。これこそがイカしたカメラオタクを自称する猛烈サラリーマンのスタイルであった。

 

「レンズ交換なかで何ば面白かと?」というと、50mmという画角だけで十分ワクワクしたのである。

巷にあふれていたコンパクトカメラのレンズは観光写真で家族の足(最悪ケースでは顔)が切れるのを恐れるためか、38mmから35mm。 このやや引いた画角に慣れた目から50mmで撮った写真を見ると、引っ込んでいたモノが前に飛び出してくる。 あるいは見たままの距離感で写る。ファインダーとレンズとの間に視差がないから切断写真がアルバムの2割を占めることもない。これが新鮮だった。

写る範囲は狭まるけれど、その場にいるような感覚が一眼レフ写真のプリントだった。

 

カメラオタクにとってはもう十分。当時は絞りなんて光量調節のためにあると思っているから、開けて背景をボカそうなんて考えない。

最初に手にした50mm f1.4 がキャノンFD。次がニコンAI。画質で気になったのは今にして思えば歪曲収差。前者はひどかった、ニコンではそこがまともに写るようになったが開発時期が違うので比較してもしかたがない。

が。

がががの、が。

 

私はコンタックスアリアの中吊り広告を見て一目惚れし、その流れで99年にMMJタイプと呼ばれるカールツァイスの50mm f1.4 を購入した。猛烈サラリーマンだから当然中古。2万3千円であった。

この描写には驚いた。その時に比べた50mmはニコンAIの他にキャノンのEFもあるのだが、

 

「濁りなく、そのまま物が写っている」

 

であった。

 

色が濃く、線はしっかりと且つ柔らかく出る。と言うことも出来るが、物が写っているという表現の方がしっくりくる。プリントは紙なのに見入ってしまうのである。

のちに同じカールツァイスの50mmのf1.7も買ったが、こちらは淡白で物の重みまでは写らない。(最短撮影距離がやや長いという難点もあった。)

 プラナーf1.4のこんな描写、今時あるか〜といったら一つだけ似た印象を持つ。

ニコンZマウントの24−120mmf4レンズ。収差補正やガラス硝材は全然違うのだろうけど、これも物が写るので毎回ゾクゾクする。

逆からみると、この印象の写りを、「小さく軽く、ヘリコイド操作を楽しみながら、絞りももっと開けれたら」 が カールツァイス50mm f1.4。  とも言える。

 

◆付くボティは持っているけど問題

なら、このレンズ今でも使っているかといったら 使う気がしない。

コンタックスのRXⅡというボディを完動のまま、悲しいことにメーカー不具合も完動のまま、一つ残している。今あるフイルムカメラはこれ1台。

それでイカすカメラオタクの所作として何も問題はないのであるが、

とにかくフイルム代が高ーー無限延長ーーーい。 のであった。

24(+3)枚どり3本1000円以下が当然の感覚にとって、今のフイルム価格は桂三枝師匠がしつこく出身大学を聞く前に「ガソリン何リッター入るねん!グー♡」と絶叫するほどなのである。

だから、使う気がしない。

使いたいけど、使わない。時々ヘリコイドを回して空シャッターを切っては ほほう と呆けていることを通常は使っているとは言わないのだ。

 

◆50mm標準レンズは他にもあるけど問題

どうするよ、フイルム時代のレンズをフイルムでなく使う方法。

について、解はあるのか。

ある。

デジタル一眼のマウントとフイルム一眼時代のマウントをつなぐ架け橋、ザ・マウントアダプタを使えば良い。

なんてことは、ソニーαフルサイズデジタル一眼の使い方として10年以上も前から知れたことであった。だが、デジタル一眼デビューをペンタックスで始めてしまった私には無縁の話題であった。

その後、ペンタックスのカメラ事業への向き合い方に限界を感じてニコンZマウントに移行したものの、Zというのはレンズ自体が素晴らしく、そんなマウントアダプタつけてまでどうするよ、ケケケ と思って幾数年。

 

Zマウントの50mmf1.8が放つ光学機器そのものの描写には満足しているが、ハテ? この大きさはたとえこれがf1.4だとしてもオカシイのではないか?と思うようになってきた。なんせ、大根と同じくらいに太いのである。プラナーは蓮根サイズだった。

 

ならば、ニコン純正のマウントアダプタを介してAIマウントのニコンレンズをつければ良い。ではあるのだが、今度はAIレンズの描写はどうにも趣向が違う、そしてZレンズのような精緻さも無い という問題にぶち当たってしまう。

 

それに加えて間をつなぐマウントアダプタFTZⅡ。持ってはいるけど、この空洞がなんともバカボン(パパでない子供のほう)の遠い眼差しに似て茫洋感満載なため、ウウッときてしまう。

 

◆始まりはNIKON ロゴ

そんな昔回帰の毎日を過ごしていたころ、もう一つの昔回帰に向き合いたくなってきた。

そう、全国7000万人ニコンファン共通のアレ。

Nikon なんとか Nikon に戻らないか 案件」 である。

この斜体ロゴになってからそろそろ40年になるかと思うが、いまだにヘンだと思う。

なんで斜めに傾いているのだろう なんでシャチョーは格好悪いと思わなかったのだろう。

これに似て大失敗したのが音響メーカーのパイオニアである。

昔はオメガに似たマークと機械メーカらしいロゴで、イカしたヤングボーイズの心を虜にし、

ラジカセのランナウェイをはじめヒットを飛ばしていたがロゴを変えたあたりから傾いてしまった。 そう、文字を傾けると社業としても危ないのではないか?

 

ということで、Z7Ⅱのオデコのところに、縦型Nikonロゴを貼ってみた。

インターネットで縦型ロゴを画像検索し、画面コピー(無断)したものをエプソン写真用紙光沢タイプに印刷。その裏に両面テープをつけて貼り付けて完成したのが冒頭の写真である。

本体塗装の粗目調にあわせるように、貼り付ける前にはプラモデルの艶消しクリヤーをオリンポスのピースコンで粒的状に吹くという石橋ゲル首相直伝のオタクテクもココには使っている。

むひょ、カッコインテグラ

とはなったが、今度は大根だらけのZマウントレンズとのイレギュラ感が目立つ結果となった。

 

あ〜、せめてプラナーだったらバッチグーなのに。

→ よっしゃ、マウントアダプター デビューするぞ。

 

◆先入観との戦い

しかしFTZⅡならまだ電気接点があるものの、そうでないマウントアダプタは本当に空洞でしかないことにはビビっていた。

 

・自分がわかってないことの不安;どうやって露出が合うのか。どのモード使うのか。

・工作精度への不安①;無限遠や最短距離が合うのか。

・工作精度への不安②;すごく偏芯するのではないか。

・工作配慮への不安;ちゃんと裏塗りしてあるのか。

 

まあ、1番目はいくら多く撮影してもタダで済むデジタル1眼なのだから露出を変えながら数打ちゃなんとかなりそうな気はする。

問題は工作精度である。

無限遠が合わなくても所詮は道楽と割り切りその領域を使わなければ済むだろうが、偏心への恐怖は拭いきれない。 これにはペンタックスデジタル一眼時代の苦い経験が影を落としている。とにかく、ズームと名の付くペンタックスレンズには何らかの偏芯があり苦労した。メーカ-純正でさえそんな事が起きたのだから、サードパーティ製の単なる空洞は大丈夫か という気持ちになっていた。

 

しかし、自作縦型ロゴとのマッチングを考えると、ここはプラナーを付けるしかない。すでに論点が描写ではなく見た目に行っている事からしてズレでは来ていたのだが、「たとえ使えなくても飾っているだけでネスカフェゴールドブレンド一杯はいけそう」という保険的読みも手伝い、マウントアダプターを実物も見ずにamazonでポチることにした。

 

焦点工房が扱うSHOTEN CY-NZ 5000円也。

 

◆装着してみて い・け・る

さてさて、来て見たときの印象をいうと武骨の一言につきる。

 

Zマウントとヤシコンマウントでは直径に大きな開きがあるのだが、このSHOTENはそこをなだらかにではなく階段のように唐突につなげている。そして太いZマウント側の装飾として金属のまま加工されたダイヤカットが黒光りしている事もこの印象を強化している。

とはいえブツとしての工作レベルは相当高く、カット一つ一つが綺麗に揃っている。空洞の中も裏塗りが均一に厚みをもってされていて一片のダレもない。こいつは相当いけるのではと期待を持たせるツクリであった。

 

いざ装着してみた感も上々。ボディ側もレンズ側もしっかりハマり、且つ抜けにくくなることはない。

そして、いよいよレンズ長方向の精度の確認。無限遠と最短距離。

これも意外なことにしっかり出ている。十分使える精度を持っている。

 

ジャーン。肝心の露出合わせはどうか。何のことはない。超ラクであった。

私は種々のWEB情報から、マニュアルモードに設定することが前提と思っていたが使ってみるとそんな事はない。普段に使い慣れている絞り優先モードで十分いける。

ISOをオートにして、シャッター速度の低速限界を1/30に設定、手ブレ補正をONにすれば絞っても開いてもISOと速度の二つで撮像素子に入る光量をコントロールしてくれるおかげで下手な鉄砲数打ちゃ当たる作戦をしなくても十分に露出が合う。少し違うな、と思えば露出補正ダイヤルをいじるだけで済む。Zマウントレンズをつけている時とほぼ変わらない。

たぶんソニーのαでも同じだと思うが、この手の一眼だからこそファインダーで露出の明暗が確認出来るので何の不安もなく撮影できた。このラクさは、むしろ驚きに近い。

 

プラナーを装着した外見も、まあまあ3年落ちの中古カッコインテグラくらいに自分としては許せる程度にはなっている。

 

◆写してみて 広がった

写してみて、まずは偏芯についての心配は全くの杞憂だったことに安堵した。

写りについてのイメージは、コンタックスRXⅡで使っていたものとは少し違う。

何が違うかというと、コントラストである。これが、強いと感じていた印象から中庸へとシフトした。見た目の柔らかさをより伝えるようになった。おそらくは、Z7Ⅱのもつ諧調がネガとはいえフイルムを元に構成されるソレよりも潤沢なのではないだろうか。

プラナーでさえこうならば、フイルム時代に使っていたレンズを今にマウントアダプタを介して使うと中庸どころかポワポワに見えるのではないか とさえ思った。もちろん、Z7Ⅱはデジカメなので諧調をいじることはお茶の子さいさいであるが、意外な発見であった。

(ここでの印象はスタンダード諧調に設定した時のことを述べています)

 

再発見といえるかどうかであるが、嬉しかったのは開放側の絞りが案外と使えることである。

フイルムの時代には、このレンズのf2.8以下なんて収差が勝って解像度は出ないと思い込んでいたがそんなことはない。f2.5で十分にくっきりと写る。周辺光量もそれほど落ちない。

つまり、ボケをより積極的に使う気持ちに余裕が出る。

そしてまた、絞る場合においてもシャッター速度が遅くなった時には強力なボデー内手ブレ補正が効くため撮影に余裕が出る。

 

つまりは、フイルムの時よりもプラナーの良さをあます事なく使えるということで撮影の幅は広がった。さらには、マウントアダプタの分伸びるとはいっても、Z7ⅡというカメラがコンタックスRXⅡほどデカくも重くも無いので持ち出す時のハードルも低い。

 

と、いい事づくめなのであった。

これに気分を良くして、昔手放したカールツァイスを中古で買い漁ろうとしたらその値段の高騰ぶりに驚いた。これならば、プラナーだけで良い。

ゾナー85mmとか捨てがたいレンズも多いがプラナーの別格さに比べたらZマウントレンズで十分カバーできる画質ではあるので。

 

◆Z7Ⅱの側から

最後に、他社のマニュアルレンズをマウントアダプタを使ってくっつけたZ7Ⅱとしての良さにも触れておきたい。

一つには、高画素モデルであるので焦点をあわせるターゲット枠が小さい事である。レンズがオートフォーカスではないので、その枠の範囲で焦点をあわせるには拡大機能を使ってファインダ目視しつつヘリコイド回すことになるのだが、小さいために対象により正確なピント合わせができる。なによりも、ターゲット枠が小さいとそれだけでマニュアルでピントを合わせようという気持ちがわいてくるのが良い。

二つ目としては、露出の2段プラケットができることである。

同じ光景を撮り直すことなく露出を変えて連続撮影できるのが40年前からあるブラケット機構であるが、これが➕・適正・➖の3段である機種が多い。3段というのはラチチュードが狭いポジフイルムの場合の事情であって、そうではないデジタルの現在ならば2段あれば十分な気がする。逆にまったく無いと、もう一枚撮り直さないと何となく不安にかられる時があるので、2段プラケットができるZ7Ⅱは特に作画重視のために持ち出すプラナーとの相性を考えたらベリグーなのであった。

なぜ、ことさら2段2段と、高見山関が2倍2倍と言うように拘るかというと、ニコンの映像エンジンがExpeed6であり最新のExpeed7ではないからである。 最新の7では、私がヨドバシでさんざんZ8やらZ6Ⅲをいじくり回した限りでは2段プラケットがもう出来なくなっている。というか見つけきれなかった。

これは私の使い方でいうと、被写体認識が7になってダントツに良くなったとかそういう発展面を全て無にしてしまうくらい大きな出来事なのでもう少し調査したいと思う。

 

ところで、オデコの縦型ロゴであるが今はない。簡単に剥がれて無くなってしまった。

ニコンがこの縦型ロゴのプレートをオプションで作ってくれたら、私は買う。298円だったら絶対買う。それ以上だったらどうかな、なんせシニアだから。

残念〜。

 

最後に、Z7Ⅱとプラナーで撮った写真を掲載します。それではまたです。

Z7Ⅱ  ツァイス 50mm f1.4

2025年 7月 20日。