まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その1.インスタマチックの シャッター

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◆出会い 

初めて手にしたカメラ、それがコダックのポケットインスタマチック200です。1974年ブラジル製。フィルムは当時ポケットフィルムと呼ばれたカートリッジ型でこのフォーマットもコダックが製品化したものでした。

アルミでカバーされたボディのひんやりした手触りが心地よく、レンズバリヤを開閉したりお天気マーク(光量調整、つまり絞り)をスライドさせたりと、少ない可動部を意味もなくいじくりまわしました。手におさまる大きさの最近のデバイスでは必ず充電バッテリが入ってないと動作しませんが、このカメラは電池不要、自分の力だけで動きます。

◆ボンヤリ描写、そのワケは...

さて、初めて手にしたこのカメラ、当時高価だったフィルムを無駄にしないようにパチパチ撮り始めたわけですが一つ大きな問題がありました。それは、シャッターボタンが「え?」と思うほどに固いこと。パチッでもカシャでもなく、人差し指で押し込むと「ペチ」というカメムシが潰れた余韻を残しカメラを支える両手もろとも動いてしまう。同じカメラを持ってた人のモノと比べたことがあるが、これも「ペチ」。

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手ブレのことなど知らない私は「こんなにボンヤリ写るものなのか?」と少々がっかりしたのを覚えてます。アザラシを撮った時など、目で見たときは巨大で迫力あったのに、この手ブレ+小さなフィルム面積+アバウトな固定焦点のせいでお菓子のカリントがモゾモゾ転がっているよう。

そもそもがシャープに光景を切り取ることを期待するようなカメラでなかったことは今だからいえますが、全てが雑誌の広告写真や観光地の絵ハガキのようにパキパキ写るものと思い込んでいたカメラ初心者にとっては「写真は難しい、見た通りには撮れない」を痛感したデビューとなりました。しかし、この苦い経験によって、写真を見たままに写そうという修行の道を早々とあきらめ、自分にとって心地よい撮り方をすることを楽しむようになりました。

◆推さなきゃ始まらない

ところで、今のデジタルカメラのシャッターボタンはどうでしょうか。撮った画像はあとから個人でいじれることもあってシャッターに限らず機械としての差はあまりないようにみえますが、押してみるとメーカ毎の考え方を反映してるかのように違いを感じます。

わずか1ミリちょっとの操作が写真の出来上がりを左右するシャッターボタン、当たり前のことをはるばるブラジルで生まれ教えてくれたインスタマチック200でした。

◇次回:いきなり一眼レフ。フルマニュアルカメラを取り上げます。