まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その5.EOS1000 軽くない軽さ

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◆出会い

ミノルタα7000でオートフォーカス一眼レフが幕開けし他社も追随していた頃、このEOS1000はキャノンでは630系に次ぐ第2世代にあたります。形を見ると現在キャノンが発売しているデジタルカメラの操作系が26年前のこのときにすでに確立していたことがわかります。

このカメラを選んだ理由、それは値段が49000円と安い割に露出情報がファインダの中で確認できたことにあります。それまで使っていたFGがシャッタースピードはLED点灯で確認できても絞り値や露出補正は視認できなかったので、初めてEOS1000を覗いてみて鮮やかな緑色で各数値が表示されることに大きな魅力を感じました。

◆プラスチックで構わない

それが、高価で重いカメラであれば当然かもしれないが安く軽いカメラで実現できたことに価値があります。レンズもボディもプラスチックを多用し非常に軽いうえに、ファインダ覗きながら右手だけで露出を自由に設定できるのでストレスを感じません。これが重いカメラだと、設定をあれこれ変えている間に支えている左手に力が入り像への集中力が薄れることもあります。特にボディ底面の前後幅が薄いフィルムカメラの場合はそう感じました。

ストレスなく撮影設定に集中して撮ることができるだけでなくグリップも厚くシャッタの反動も小さかったのでブレも生じにくい。その結果、ポジフィルムでも綺麗な結果を残すことができました。カメラは軽いのに、撮れた写真は全然軽くなくしっとりしたものを写せます。目が行き届いた写真になり軽くないのです。

◆でも。壊れた

ただ、プラスチックの割り切りの中でバッテリの開閉蓋ヒンジが一体成型だったことには、そこが壊れたら撮影すらできないことを思うと不安が残りました。また、グリップのシボはゴム皮を貼ってるわけでなくプラ成型でテカ光りしてるので少々興ざめしました。

実際、プラスチック各部の接合強度の煮詰めが甘いために、撮影できなかった事が一度あります。撮影しようとしてシャッタを押しても押せない。どうしたのかと見てみたらボディ上面とボディ前面の勘合が外れていました。

精密機械としての塊として写真機を捉えるなら、全くそのラインに乗っからないカメラです。塊であることをカメラ自ら放棄してしまう壊れ方するのですから。

しかし、オートフォーカス化の流れと共に写真機の塊感への憧憬が薄れていった時代の中で、写真を撮る人の裾野の広がりも含めていろんな契機を呼ぶカメラだったと思います。

◇次回:写ルンです。全盛。 その波に飲み込まれてしまったようなカメラ。