まど猫スケッチ

カメラを手に感じてきた雑感を回想する

その11.ティアラの アレ?

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◆出会い

このカメラの宣伝、あちこちで目にした覚えがあります。

ツヤ消しのチタン色と金属らしいヒンヤリ感、その中に赤っぽいコーティングが光るレンズ。開閉バリヤのスムーズな作動、そして廉価、小さい。すでに似たようなサイズのカメラは揃えていたのですが、モノとしての魅力を感じ購入しました。

◆カバンの住人

買ったあとでコレは良いと思ったのは、カタチがスクエアで出っ張りがないことです。金属ですから、カバンの中に入れておいても割れるとか外れるとか撮影不能になる傷を負う心配なくゴロッと裸で入れておけます。

同じスクエアということでコニカビッグミニもおさまり良かったのですが、レンズに保護フィルタがあっても、さすがにファインダは透明プラのままなのであっという間に傷つく。そこでいくと、ティアラにはバリヤがあるのでファインダも視界良好。 裸のままゴロッとカバンにいつも入れとく。

エスピオミニやオリンパスXAはバリヤはあるが、そのバリヤが逆にゴツい。 

また、ティアラは首から下げて持ち歩くようにはできていない。ボディにストラップ受けが無く、底面の三脚穴にハンドストラップをつける仕組みなのですが、それをすると今度は机に置いたときにこのブラブラがあって置けない。結局 首に下げたり手に持ったりでなく、スクエアで金属のカラに囲まれたボディを生かしカバンに入れとくのが作法。

撮る瞬間までカバンの中に入れておく、撮ったらまたカバンに入れる。そんな使い方でした。

 ◆で、何を撮るか

ぶらっと出かける、そして気に入ったものを見かけたらカバンからサッと取り出しシャッタを押す。そう、サッと取り出すまでは良いのだが。。。

ファインダを覗いた瞬間にアレ? というのはレンズが28mmなので、見かけた瞬間に合わせた目の広がりとズレが出てしまう。ペンタックスエスピオミニの32mmだとそのズレを感じなかったのですが、28mmになるとあらゆるものが遠くに下がり、目障りなパースが気になる印象なのです。ではスナップでなく風景はどうか、というと、それも32mmもしくはそこを越えて24mmだと自然にコントロールできるが28mmはどうにも扱いが難しく使いこなせませんでした。今も28mmは苦手です。

しかし、これは個人的な画角のクセであってカメラが悪いわけではありません。レンズが35mmであれば。。。とは思いましたが、「写ルンです。」とは違う世界をカメラとして見せることも魅力の一つであったろうし、世の中には28mmの画角を楽しむ人も多いのでこれはこれで良かったのでしょう。

で、何を撮ったか、というと やはり出かけた時のスナップ。しかし、説明的な写真になりがちで、ならば金属外装の趣味的カメラというよりメモ撮りカメラになってしまう。

見かけは趣味、でも、出るものは事務記録 みたいな変な感じは残りました。

◆レンズ性能

 28mmという画角は別にして、出来たプリントを見ると目にした光を表現仕切れていない。濃く写ることはあるが、色の幅のグラデーションが狭く色数の少ない色鉛筆に似た印象を受けました。また、解像度が緩く感じられ、全体に線の太い描写でした。ペンタックスエスピオミニと比較すると、「見た時+」なのに対し「見た時-」。逆に言えば、自分の目からみてエスピオミニがそれだけ図抜けた描写をしていたということだと思います。

◆フジフィルムらしさ

コンタックスT2やNIKON35iなど高価格コンパクトカメラが持てはやされた時期に、誰もが写せることを念頭においてつくられた事をひしひしと感じました。セールスでいえば、ティアラは他の単眼コンパクトに比べ圧倒的に売れたと思います。その意味で成功したといえるでしょう。

ただ。28mm単焦点カメラ、これが38とか35mmだったらと思う時があります。記念撮影しようとしたとき、28mmでは その画角を意識せず被写体ばかりに注意がいくと思いのほか人の顔が小さく写ってしまう。「お正月を写そう、フジカラーで残そう」、残された家族の表情がちっちゃいというのはいやはやどうなんだろう。

コンタックスT2と同じレンズ画角で真っ向勝負し、本来のコンパクトカメラの在り方を示すことができたら、それはそれで老舗の逆襲みたいな感じで面白かったのに、とも思います。

◇次回:触っているだけなら最高。でも、撮るのが難しかった、撮れなかった。